で?っていう備忘録

再開です。

遠距離恋愛がもたらす謎の留学感について

広義の「文化×経済」周りの本は20冊くらい読んだっぽいので、その中から5冊。

 

創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業

創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業

わくわくする読みもの。翻訳は最近だけど、書かれたのは03年とか。東さんが「コンテンツ/コミュニケーション消費」と言い出した同時期に、ハリウッド映画とインド絨毯を話題にして同じことを言っている。「ゲーリア」はやっぱすごかったんだと改めて思う。

 

文化経済学入門―創造性の探究から都市再生まで

文化経済学入門―創造性の探究から都市再生まで

ニュアンスがよく分かる入門。既往論点の整理がすっきりしてある。もっと深堀りできるんだろうなと思うために読む感じ。著者は文化経済学界ではその名を知らぬ者はおらぬという長老。

 

文化政策学―法・経済・マネジメント (有斐閣コンパクト)

文化政策学―法・経済・マネジメント (有斐閣コンパクト)

良い教科書。まとまっている。他にもいくつか出ているけど、「文化っていうのはお金で買えないものでね・・・」といった、読み手を諭していく姿勢が少なめなのがよかった。ミネルヴァ書房の「文化経済論」のほうは、記述が念入り。

 

イギリス映画と文化政策――ブレア政権以降のポリティカル・エコノミー

イギリス映画と文化政策――ブレア政権以降のポリティカル・エコノミー

アンソロジー。ポストモダニズム批評っぽい論考が入ってたり、足腰の据わった社会反映論があったり。読後、翻って、00年代は文芸市場における大衆の国際化が進んでいた時代だったんだなぁと思った。たぶん「フィフティ・シェイズ」は皮切りでもあり、真打ちでもあったのだ。ふつうに面白かったから、河島氏の著書はすべて読みたい。

 

文化的景観を評価する 世界遺産富山県五箇山合掌造り集落の事例 (文化とまちづくり叢書)

文化的景観を評価する 世界遺産富山県五箇山合掌造り集落の事例 (文化とまちづくり叢書)

入門から入ると飽きる性格のため、初めに買った実用書。前のエントリで紹介したので後略。その後、『文化財の価値を評価する』が2011年に出ておりました。同著者の 『チケットを売り切る劇場: 兵庫県立芸術文化センターの軌跡』も読みたいところ。

 

Wikipediaで「文化経済学」を引くと出てくるJ・ラスキンとかボウモル/ボウエンとかは、一応教科書にはよく出てくるけど、参照のされ方を見る感じ、すでに乗り越えられているよう。さかのぼるかは検討中。

どうやらこの学問が立ち上がった当初は「経済学内で文化論をやる」という肩身の狭さがあったようで、古い本になればなるほど理念をすごい強く推して来るのだけども、そっちは文学屋で鱈腹ごちそうになりました……。

今後は、マクロ経済学を齧って経済学者学に目覚めるといった香ばしい仕上がりは避けたいし、法律まわりと海外の空気感と分析手法を調べる。

市販書をもう5冊くらい読んだら論文を読んでいくつもり。