「リルラ リルハ」を記述するには
木村カエラ聴きながらある考古学者の著作を読んでいる。楽しい。
この著作は、考古学者が自分のこれまでの仕事を振り返りながら、
さらにもう一歩先へ行こう、失敗したところは忘れよう、としている力作で、
もはや「考えながら書いてる」というより、「書きながら考えてる」っぽい感じ。
だから文章がのらりくらり、停滞して・急進して、増え続ける「考えるべき課題」、
まとまらない文、脱げなくなった冬用ブーツの上から痒い足を掻こうとしているようなじれったさ、
を読んでてすごく感じる。
書き手である考古学者も、ひとりツッコミを随所に入れつつ熟考してるから、
口調が断定的なわりに、「諸―」とか「すべての―」とかしょっちゅう言う。
不安なんだろうね。
いま、半分をちょっと過ぎたところで、ようやく考古学者も自分の仕事を見つけれたようだ。以下、ここまでのあらすじ。
「歴史」(=リルラ リルハ)を記述するには?
↓
その時・その場所で書かれた・話された言葉の集まり、
雑然としてて、まとまりがなくて、どこまでも増え続ける言葉の集まり、
を、無理やり統一したり、起源を解明しようとしたりするのはもうやめよう。
↓
言葉の集まりを、どう整理するかじゃなくて、
言葉の集まりが、どうやって形作られ、編制されていくかを記述しよう
↓
そのためには「言表」について考えないといけない。
「言表」と言っても難しいことではなくて(この考古学者はこれを掴まえるのにすごく苦労していたけど)、要は、こういうこと。
↓
「言表」とは、ある時・ある場・ある文脈・ある規則のなかでの、言葉の振舞い方・働き方・在り方である。バラエティ番組で言う、「空気」、である。
「言表」とは、表現された言語運用である。
↓
「言表」について記述すれば、言葉の集まりの形成・編制について記述できるはずだ。
↓
じゃぁ、「言表」を、どうやって記述すればいいんだ?