で?っていう備忘録

再開です。

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

吉野弘を「発見する」詩人だと仮定する1

講義で提出したレポートです。 ハイコンテクストでごめんなさい。以下で本文が読めます。「I was born」「素直な疑問符」(http://bit.ly/ahfnGJ) 「身も心も」(http://iori75.finito-web.com/yosino2.html) 前置き 今まで見たことがない物のかたちや姿に…

正直、じっさい、『小説の精神』>『裏切られた遺言』>『カーテン』

「論」の誕生 どんなに些細な物事についてだとしても、一群の言葉や話、お喋りの集積体は、「論」と呼ばれるようになった時、既に、大雑把な輪郭を持ち、ある程度の自立を手に入れている。「論」は、常に「もっともらしさ」と「通用する限界」を持っていて、…

「うな」とは何の謂いぞ

なんか学生が書いた未完の拙い論考が無残に晒されている「場」と化しつつあるこのブログですが、『「もっと評価されるべき」すべての文芸たちのために』の連載もひと段落しましたので、更新頻度をまた週一くらいに戻します。今のところ考えているのは、↓とい…

「もっと評価されるべき」すべての文芸たちのために(12)

12.僕と、リービ英雄 さて、そろそろいいだろう。準備は整った。これから僕はリービ英雄を読む。この評論の一行目に書いた通りだ。つまり僕はまだ一冊もリービ英雄を読んでいないということだ。これから僕はリービ英雄を読む。そのために7つの武器を揃えて…

「もっと評価されるべき」すべての文芸たちのために(11)

11.古川日出男と、リービ英雄 味も素っ気もなく言ってしまえば「ポストコロニアリズム」というのは、 「昔、(私たちの)植民地だった(私たちの)国がいままでどうなっていたかを見つつ、私たち自身、これからどうするかを考え直そう」という考え方だ。「…

「もっと評価されるべき」すべての文芸たちのために(10)

10.大西賢示と、リービ英雄 僕にとって『底辺女子高生』(豊島ミホ)は、もはや小説なのかどうかわからなくなるほど優れた前衛小説だけど、この本は「エッセイ」として売られている。『巣鴨とげ抜き地蔵縁起』はもはや詩なのかわからなくなるほど優れた前衛…

「もっと評価されるべき」すべての文芸たちのために(『冗談』をめぐって(後篇))(9)

9.ミラン・クンデラと、リービ英雄 この章に書かれていた文章は、先月書いた『冗談』(ミラン・クンデラ)についてのエントリ↓にもう掲載されてしまっています。(http://d.hatena.ne.jp/bartlebooth/20100504#1272948448)そこにはこういう記述があって、…

「もっと評価されるべき」すべての文芸たちのために(8)

8.多和田葉子と、リービ英雄 翻訳はどうがんばってみても不自然な結果しか生み出すことができない。ただしその不自然さは、あくまでも自然現象の中に住み込み、そこにありえないねじれをもたらすような種類の不自然さだ。人工物の、人為の不自然さではなく…

「もっと評価されるべき」すべての文芸たちのために(7)

7.笙野頼子と、リービ英雄 彼は、日本で「私小説」と言うと、「自伝的小説」とか「書き手がほんとうに経験したことだけを包み隠さず告白する小説」とか「実際の書き手によく似た境遇や考え方の「彼」や「私」が出て来る小説」とか「書き手の経験が小説のな…

「もっと評価されるべき」すべての文芸たちのための(6)

6.金城一紀と、リービ英雄 4.にはこう書いておいた。「金城一紀は「insider」として日本語で小説を書くが、リービ英雄は「outsider」として日本語で小説を書く。」別に逆でもかまわない。「リービ英雄は「insider」として日本語で小説を書くが、金城一紀…

「もっと評価されるべき」すべての文芸たちのために(5)

5.阿部和重と、リービ英雄 (A)「んだがら先生も気の毒でねえ。かなり喧(やがま)しぐ言わっでるみだいで、滅法カリカリしておられましたわ。大変ですわ、ああいう親戚付ぎ合いは。先生のどこほどじゃねえっすけど、うぢも似たようなごどあっから、よく判…