2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧
4.あの小説家と、リービ英雄 阿部和重の「方言」は読み手に「わからせない」ために書かれているが、リービ英雄の「方言」は書き手が歩み寄って理解するために書かれている。金城一紀は「insider」として日本語で小説を書くが、リービ英雄は「outsider」と…
3.前置き3 さて、これから僕はリービ英雄を読むわけだけど、これまでのようにリービ英雄だけを読むわけにも行かないだろう。ある小説が「マイナーの文学」であるのは他の小説との関わりのなかだけなのだ。たった一つの小説だけを極私的に読むのであれば、…
2.前置き2 本題へ入る前に、「マイナーの文学」という言葉の曖昧さ、というよりは、定めがたさについて書きたい。ひとつの言葉の使い方にいちいち立ち止まるのはまどろっこしいことだし、本題を見失いやすいし、やり過ぎると苦しくなる。だからなるべくさ…
去年、「マイナー文学論」という講義に出ていたとき書いた文章を、今日から一章ずつ、公開していきます。ぜんぶで12章。今日は、前置きを。 1.前置き これから僕はリービ英雄を読む。とはいえこれまで彼らがしてきたように、文芸評論の作法にきちんと則っ…
その面白さをどうにかして語るつもりが、いまいちうまくいかなくて苦心しているうちに、いつの間にか話題が大きく逸れてしまって、話し手にも聞き手にもいま自分が何を話して/聞いているのかよくわからなくなる。本題を見失って、そもそもの目的も忘れられ…
ブログ更新してなくてすみません。諸連絡。 ・『冗談』論も「舞城王太郎を経由して保坂和志とけいおん!を接続する」論もまだまだ書きかけです。 ちゃんと書き終えれば卒論の設計図にもなると思うのでちゃんと書きます。 ・『ハザール辞典』の簡単なレビュー…
ざっくり言えば、プログラムというのは、何らかの「きまり」に従って何らかの「手続き」を経たうえで、あるところは省略し、あるところは詳説した言葉の束だ。それはその界隈の人(と機械)にしか通じないけれど、使い方・読み方を仲間内で共有しておけば、…
(承前)「空気嫁」とまじめに向き合うのはとても困難だ。 (前回のつづき)と、そこまでなら、大方の想像はつくでしょう。そしてこの前提に立って、「空気」や「権力」を「糾弾」したり、「離脱」しようとすることも容易い。しかしその「糾弾」や「離脱」も…
まえおき 以下は、先月末に講義で提出したレポートを元に書かれています。 パラグラフの順序を変えたり、語尾をちょっと丁寧にしたりしています。 話題の中心は、その「場」の空気を徹底的に読まなければならない「場」で発せられた言葉をどう読むか、という…