で?っていう備忘録

再開です。

一億三千万人のための本当は怖い『源氏物語』が面白い7つの理由を一月で覚えるために必要な思考法で人生がもっと楽しくなる魔法の鍵はどうやって作られたのか

源氏物語』を原文(校正の有志たちの手で再編集された)で読む時に、読みづらさを感じる理由はおおむね次の7つだろう。
そしてそれはまた、『源氏物語』を読む時に他の何ものにも替えがたい楽しさを生み出す源だろう。


1.長い
(気後れしてしまう。世間で浅く信じられている通年とは逆に、一文の長さは読みやすさを保障している。句点で文の流れが閉じないから、節ごとのつながりが追いやすい。)

2.語りのテンポが速い
(読んでみるとわかるけど話が次から次へと飛ぶ。パラグラフ一つで一つのエピソードを語るどころか、一文一話もざら。「平安時代の人は暇だった」なんて、過去を理想化した羨望でしかないことがわかる。)

3.登場人物が多いし、関わりが複雑
(『百年の孤独』とか『人生使用法』とか『火の鳥』とか『ONE×PEACE』とか『DQ6』とか「色川武大の交遊関係」くらい多くて複雑。きっと書き手も人物たちをそこまで厳密に統御し切っていたわけではないんだろう。「玉鬘」の右近と再開する場面なんて、いきなりぽっと三条の君が出てくる。)

4.語彙が古い
(すでに死んでいる言葉もあるし、書き手がその場限りのつもりで作った造語もある。そこを差し引けば、むしろ類型的とすら悪口言えるほど、各登場人物の人柄や気持ちは明晰な言葉にされていて、いま読んでも十分ぐっと来る。)

5.省略が多い。
(同時代の読者に宛てて書かれているから、自明なことががんがん省かれてる。同時代じゃない僕らにとっては、場面毎の人物の位置関係が把握しづらい。『人生使用法』が、あの長さのわりに驚くほど読みやすいのは、同時代の人にとっても(たぶん作者にとっても)自明なことを、強いて書き込んであるからだ。部屋のどこに何があるか、ほんとうに手に取るようにわかる書き方をしている。)

6.曖昧さが残されている。
(「誰が話しているのか」を(たぶん意図的に)曖昧にしてある(というか、書きながら考えてたっぽい箇所とかもある。とりあえず台詞を書き出しておいて、(誰に喋らせるか)をあとで補う、みたいな。樋口一葉もこういうことをしてた気がする。)


7.