で?っていう備忘録

再開です。

2010-01-01から1年間の記事一覧

「紋切り型化するカジュアル」

チェルフィッチュの公演の感想を書こうと思ったのに、 さっき見たら、あらかたのことはもう「偽日記」に書かれてしまっていたのだった。観劇当夜に、観劇中に思い浮かんだことを、これだけまとまった言葉に出来るということは、相応の集中力を会場に持ち込ん…

おととい観た公演の感想を書くための下準備

押入れを探したら、こんな原稿が出てきた。いつだかにレポートとして書いたやつだ。 『フリータイム』と、『私率イン 歯ー、または世界』と、もう一作を並べて論じたものの一部。 『フリータイム』を読み直すと、チェルフィッチュという劇団および劇作家岡田…

さっきまでぼくたちが観ていた『わたしたちは無傷な別人であるのか?』のこと。(3・9に追記)

書き出しに迷ったからぜんぶ書いておくことにする。 ・私は、『わたしたちは無傷な別人であるのか?』を、チェルフィッチュの、公演を、観てきました。 ・チェルフィッチュの、『わたしたちは無傷な別人であるのか?』を、観てきた。すげかった。あと二日で…

そのうち『マイケル・K』と『slow man』の紹介をがっつり書くためのメモ

この小説に出てくる「事件」や「出来事」や「人」は、ひたすらに歩き続ける主人公のもとへ、次から次へとやって来ては去り、やって来ては去っていく。そうして二度と同じ地点へ同じようには還ってこない。 主人公マイケル・Kが体験するのは、肉親の病、突然…

2・23

・2/16日のエントリを読み返す。雑だ。 「「渦中の言葉」を悲しく語る人って、嫌い。」と丁寧に言おうとして、 論旨がずれてたり、言い足りてなかったり、無防備になったりしている。 私が嫌なのは「悲しく」であって、かつて「悲しく」語っていた昔の自分で…

「ポストモダンが(円城塔に)殺された!」

『SRE』(EJT)読了。がっつりした感想は、後日。 今回は、掲題について詳説します。 「ポストモダンが殺された!」 これは、本書『Self-Reference Engine』を9割ほど読み終えたところで抱いた感想です。 とはいえ僕はそもそも、SFと名のつきそうな…

古くてダサくて使いづらいものの代表格と言えば

日本の戦後文学史ですよね、もちろん。 先月からちょいちょい書き始めた「私家版:日本の戦後文学史」。 卒論の題目にするつもりだったのですが、飽きました。 やる気が回復するまで、しばらく放置しておきたいと思います。 理由と言い訳 ・「別におれが書か…

『泣きたい気分』(アンナ・ガヴァルダ)は「買い」

・十代後半頃から、何かを「欲しい」と思うときって、実は気のせいなんじゃないかと考えている。「欲しい」とだけ思おうとすると即座に脳が「のかなぁ……」なんて加筆してくる。そしてその加筆はいつもだいたい正しい。実は「欲しいもの」なんてそもそもどこ…

円城塔あるいはEJTもしくはCCTについての感想

(1)著者円城塔あるいはEJTもしくはCCTというより軽妙洒脱な自己言及装置か。 SF小説家。東大の大学院で博士号をもらったみたい。 執拗な自己言及と巧過ぎる語戯を苦にした饒舌が持ち味。 一文単位の圧縮率がすごく高い。高すぎるくらい。 「ひょ…

「玉葛」(源氏物語)を現代の物語に書きかえるとどうなるか

明日でテストが終わる。勉強は、ほとんどしてない。 学生の質と講義の質のどちらも低いのは、お互いが本気を出さないからだ。 提出さえしてしまえば講義レポは用済みのごみかすになってしまうので、 このブログにも転載して、多少とも利用価値を与えたい。

Voice Band、「ぱーぱぱぱー」、寝不足な目つき。

すげぇ。 「誰でも曲作りが手軽にできるよ!」とか 「海岸線を歩いてるときにふと浮かんだフレーズをすぐにメモれるよ!」とか 「鼻歌が楽曲に早変わり!」とかが利点か。 技術的にめちゃめちゃ革新的なのは素人目にもわかる。 ただ、生活のインフラにもなら…

140字制限超過しがちなのです。

「小説の面白みは「行間」にある」って義務教育の頃どこかで聞いた紋切り型だけど、字面だけなら以外に真かも。「「行間」にこそ深い意味がある」という風にとらずに、「ある一文と次の一文のあいだのずれや飛びやつながりを楽しむといいよ」みたいに受け取…

2010年を振り返る

友達が2009年の年末に書いたエントリをたまたま読んだ。 2009年を振り返っていた。しっかりしてるな、と思った。 なので、見習って僕も、2010年を「前もって」振り返っておこうと思う。 1月「日本の戦後文学論」「高橋源一郎論」「モーリス・ブランショを読…

萩尾望都=村上春樹(年齢)、大島弓子=金井美恵子(年齢)

講義の試験で「戦後文学」について書くことになり、 ジョルジュ・ペレック的手法で日本文学史を記述していたら、 (と書くとかっこいいけど、小説家の名前を羅列していっただけ)、 いろいろ面白いことがわかった。書き上げたレポートは、どこかに載せるつも…

寺山修司>筒井康隆>大江健三郎>古井由吉(年齢)

「今日、何食べた? 3」(よしながふみ)を借りて読む。 漫画を買い揃えるような経済的余裕はうちにはない。 みんなが持ってるからといってテレビを買い与えるような親でもない。 給料日は遠い。 というわけで、読みながら思ったことを、かいつまんで書く。…

はぐれ遊牧民情熱派

本題に入る前に、2009年に読んで面白かった学術論文をメモ。 『ブランショ 可能なもの不可能なもの』上田和彦 『ジョルジュ・ペレック論 「Wあるいは子供の頃の思い出」の起源』福住遊 『翻訳という<魔法>を考える』大久保ゆう 『占領下のパリ、強制収容…

「『源氏物語』と『あさきゆめみし』の差異の考察について」について

新年、ということは平安時代で、平安時代ということは、『源氏物語』だ。 という思いつきの連鎖を説得力ある形で誰かに伝えるのは難しくてしんどいからしないけど、 あまり好きではないし有益だとも思いにくい講義向けに書いたレポートを、 そのままお蔵入り…