で?っていう備忘録

再開です。

2010年4月28日水曜3限にぼくは何を考えていたのか

ざっくり言えば、プログラムというのは、何らかの「きまり」に従って何らかの「手続き」を経たうえで、あるところは省略し、あるところは詳説した言葉の束だ。それはその界隈の人(と機械)にしか通じないけれど、使い方・読み方を仲間内で共有しておけば、…

「「「「空気」の読み方」の読み方」の読み方の[……]」の読み方 『冗談』(ミラン・クンデラ)をめぐって(中篇)

(承前)「空気嫁」とまじめに向き合うのはとても困難だ。 (前回のつづき)と、そこまでなら、大方の想像はつくでしょう。そしてこの前提に立って、「空気」や「権力」を「糾弾」したり、「離脱」しようとすることも容易い。しかしその「糾弾」や「離脱」も…

「「「「空気」の読み方」の読み方」の読み方の[……]」の読み方 『冗談』(ミラン・クンデラ)をめぐって(前篇)

まえおき 以下は、先月末に講義で提出したレポートを元に書かれています。 パラグラフの順序を変えたり、語尾をちょっと丁寧にしたりしています。 話題の中心は、その「場」の空気を徹底的に読まなければならない「場」で発せられた言葉をどう読むか、という…

『芸術企業論』(村上隆)からの引用

「勤め人の美術大学教授」が「生活の心配のない学生」にものを教え続ける構造からは、モラトリアム期間を過ごし続けるタイプの自由しか生まれてこないのも当然でしょう。エセ左翼的で現実離れしたファンタジックな芸術論を語りあうだけで死んでいける腐った…

保坂和志と舞城王太郎と空気系ライトノベルのこと2の下書き

今日は二点目。保坂和志氏の近著と舞城王太郎氏の近著に文体の類似が見られる点について。 舞城王太郎さんがこれまで書いてきた小説を読んでいると、ぼくは、ものすごく強い「不安」と「息苦しさ」と「自我」とを感じる。 それは死ぬことの不安だったり、か…

保坂和志と舞城王太郎と空気系ライトノベルのこと1

保坂和志さんがいま各所で一度にいくつも連載している文章を読んでいると、ぼくは、ものすごく強い「不安」と「息苦しさ」と「自我」とを感じる。 それは死ぬことの不安だったり、からだが衰えていくことの息苦しさだったり、「悩むな、考えろ」というちょっ…

今月の積読(随時更新・メモ・amazonでやれ)

『百』、『アミナダブ』、『白暗淵』、『国語学史』、『日本文壇史』、『紫色のクオリア』、『恐怖の兜』、『チャパーエフと空虚』、『競売ナンバー49の叫び』、『あまりにも騒がしい孤独』、『玩具修理者』、『焚火』、『人間椅子』、『カルチュラルスタ…

同時体験してしまうことの歯がゆさ

スイートリトルライズと□□□と「1Q84 BOOK3略してピストルズ(笑)」のこと。 『スイートリトルライズ』を観、読んでいます。 矢崎仁司監督作を先月観て、江國香織著作を、今週。 もっとも雑に言うとすれば、夫婦がそれぞれお互いに内緒で不倫をする話。 …

大きいほうが読みやすいし書きやすいな

文字サイズを変えるとどうなるかを試してみることにします。 「お亡くなりになられる」は接尾語「御」と婉曲動詞「亡くなる」と尊敬の助動詞「られる」と三つも敬い尊ぶ語がくっついてて、慇懃無礼じゃないか、過剰包装じゃないか「亡くなられる」でよくない…

「『眠る男』が勝ち取った「強さ」を『ワラッテイイトモ』はどうして手に入れられなかったのか?」への前置き2

(先々週のつづき。筆者は執筆前に『日本文壇史』(伊藤整)を読み、強い感銘を受けています。第二章に出てくる「幸徳秋水」がすごく愛くるしい。彼は文系大学ならどこにでもいそうな愚痴り屋で夢見がちで感傷的な文学青年で、彼を取り巻く若い「社会主義者…

「『眠る男』が勝ち取った「強さ」を『ワラッテイイトモ』はどうして手に入れられなかったのか?」への前置き

「ワラッテイイトモ」(K・K作 2003年) キリンアートアワード2003に応募された作品。内容と手法の卓抜さから当時の選考委員に驚愕・絶賛されたものの、著作権法等への抵触が考慮され、本作のために新設された審査員特別優秀賞を受賞、上映会でも…

卒論題目候補

・「1909年は日本文学史に何をもたらしたのか」 (太宰治、大岡昇平、埴谷雄高、中島敦、松本清張、講談社がそれぞれ活躍した「場」、時代のスケッチ。前後世代との「つながり」をgraphwizで素描。) ・「1902年が日本文学史へ与えた影響の考察」 (…

「紋切り型化するカジュアル」

チェルフィッチュの公演の感想を書こうと思ったのに、 さっき見たら、あらかたのことはもう「偽日記」に書かれてしまっていたのだった。観劇当夜に、観劇中に思い浮かんだことを、これだけまとまった言葉に出来るということは、相応の集中力を会場に持ち込ん…

おととい観た公演の感想を書くための下準備

押入れを探したら、こんな原稿が出てきた。いつだかにレポートとして書いたやつだ。 『フリータイム』と、『私率イン 歯ー、または世界』と、もう一作を並べて論じたものの一部。 『フリータイム』を読み直すと、チェルフィッチュという劇団および劇作家岡田…

さっきまでぼくたちが観ていた『わたしたちは無傷な別人であるのか?』のこと。(3・9に追記)

書き出しに迷ったからぜんぶ書いておくことにする。 ・私は、『わたしたちは無傷な別人であるのか?』を、チェルフィッチュの、公演を、観てきました。 ・チェルフィッチュの、『わたしたちは無傷な別人であるのか?』を、観てきた。すげかった。あと二日で…

そのうち『マイケル・K』と『slow man』の紹介をがっつり書くためのメモ

この小説に出てくる「事件」や「出来事」や「人」は、ひたすらに歩き続ける主人公のもとへ、次から次へとやって来ては去り、やって来ては去っていく。そうして二度と同じ地点へ同じようには還ってこない。 主人公マイケル・Kが体験するのは、肉親の病、突然…

2・23

・2/16日のエントリを読み返す。雑だ。 「「渦中の言葉」を悲しく語る人って、嫌い。」と丁寧に言おうとして、 論旨がずれてたり、言い足りてなかったり、無防備になったりしている。 私が嫌なのは「悲しく」であって、かつて「悲しく」語っていた昔の自分で…

「ポストモダンが(円城塔に)殺された!」

『SRE』(EJT)読了。がっつりした感想は、後日。 今回は、掲題について詳説します。 「ポストモダンが殺された!」 これは、本書『Self-Reference Engine』を9割ほど読み終えたところで抱いた感想です。 とはいえ僕はそもそも、SFと名のつきそうな…

古くてダサくて使いづらいものの代表格と言えば

日本の戦後文学史ですよね、もちろん。 先月からちょいちょい書き始めた「私家版:日本の戦後文学史」。 卒論の題目にするつもりだったのですが、飽きました。 やる気が回復するまで、しばらく放置しておきたいと思います。 理由と言い訳 ・「別におれが書か…

『泣きたい気分』(アンナ・ガヴァルダ)は「買い」

・十代後半頃から、何かを「欲しい」と思うときって、実は気のせいなんじゃないかと考えている。「欲しい」とだけ思おうとすると即座に脳が「のかなぁ……」なんて加筆してくる。そしてその加筆はいつもだいたい正しい。実は「欲しいもの」なんてそもそもどこ…

円城塔あるいはEJTもしくはCCTについての感想

(1)著者円城塔あるいはEJTもしくはCCTというより軽妙洒脱な自己言及装置か。 SF小説家。東大の大学院で博士号をもらったみたい。 執拗な自己言及と巧過ぎる語戯を苦にした饒舌が持ち味。 一文単位の圧縮率がすごく高い。高すぎるくらい。 「ひょ…

「玉葛」(源氏物語)を現代の物語に書きかえるとどうなるか

明日でテストが終わる。勉強は、ほとんどしてない。 学生の質と講義の質のどちらも低いのは、お互いが本気を出さないからだ。 提出さえしてしまえば講義レポは用済みのごみかすになってしまうので、 このブログにも転載して、多少とも利用価値を与えたい。

Voice Band、「ぱーぱぱぱー」、寝不足な目つき。

すげぇ。 「誰でも曲作りが手軽にできるよ!」とか 「海岸線を歩いてるときにふと浮かんだフレーズをすぐにメモれるよ!」とか 「鼻歌が楽曲に早変わり!」とかが利点か。 技術的にめちゃめちゃ革新的なのは素人目にもわかる。 ただ、生活のインフラにもなら…

140字制限超過しがちなのです。

「小説の面白みは「行間」にある」って義務教育の頃どこかで聞いた紋切り型だけど、字面だけなら以外に真かも。「「行間」にこそ深い意味がある」という風にとらずに、「ある一文と次の一文のあいだのずれや飛びやつながりを楽しむといいよ」みたいに受け取…

2010年を振り返る

友達が2009年の年末に書いたエントリをたまたま読んだ。 2009年を振り返っていた。しっかりしてるな、と思った。 なので、見習って僕も、2010年を「前もって」振り返っておこうと思う。 1月「日本の戦後文学論」「高橋源一郎論」「モーリス・ブランショを読…

萩尾望都=村上春樹(年齢)、大島弓子=金井美恵子(年齢)

講義の試験で「戦後文学」について書くことになり、 ジョルジュ・ペレック的手法で日本文学史を記述していたら、 (と書くとかっこいいけど、小説家の名前を羅列していっただけ)、 いろいろ面白いことがわかった。書き上げたレポートは、どこかに載せるつも…

寺山修司>筒井康隆>大江健三郎>古井由吉(年齢)

「今日、何食べた? 3」(よしながふみ)を借りて読む。 漫画を買い揃えるような経済的余裕はうちにはない。 みんなが持ってるからといってテレビを買い与えるような親でもない。 給料日は遠い。 というわけで、読みながら思ったことを、かいつまんで書く。…

はぐれ遊牧民情熱派

本題に入る前に、2009年に読んで面白かった学術論文をメモ。 『ブランショ 可能なもの不可能なもの』上田和彦 『ジョルジュ・ペレック論 「Wあるいは子供の頃の思い出」の起源』福住遊 『翻訳という<魔法>を考える』大久保ゆう 『占領下のパリ、強制収容…

「『源氏物語』と『あさきゆめみし』の差異の考察について」について

新年、ということは平安時代で、平安時代ということは、『源氏物語』だ。 という思いつきの連鎖を説得力ある形で誰かに伝えるのは難しくてしんどいからしないけど、 あまり好きではないし有益だとも思いにくい講義向けに書いたレポートを、 そのままお蔵入り…

はっぴーにゅーいやー

なにやらフライング気味にもう新年気分。蕎麦を茹でている。年越し完了のお知らせ。